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戦う男、丸山忠久

前日の検分で見せる屈託のない笑顔、それが対局直前になると表情を一変させ戦士の顔になる。棋士にとってはごくごく当たり前の戦士になる瞬間かもしれない。

しかし、丸山忠久が戦士になると只者ではない。

突然竜王渡辺明の挑戦者に駆り出された丸山は、揺れに揺れた竜王戦で観る者たちを沸きに沸かせた。

丸山の戦っているんだという意思表現はフィギュアスケーターのようにこちらに伝わってくる。

味噌ラーメンにカツカレー

鶏そばにハンバーグ+おかわり

うな丼にチャーシュー麺チャーシュー追加

寿司に麻婆豆腐にチャーハン

豚のソテー数量追加

カツカレーに海鮮

これはすべて竜王戦で丸山が昼食に注文した食事の量である。

丸山は対局の時以外はこんなに食べることはないという。食べないともたないそうだ。

腹が減っては戦が出来ぬという言葉は丸山のためにあると言ってもいいかもしれない。

まさに全身全霊をかけて将棋を戦っているんだなと感じた。

おやつの時間になると丸山のおぼんには所狭しとカロリーメイトココア味が置かれていた。

あれだけお昼を食べてもなお丸山には補給が足りないのだろう。

竜王戦第3局、丸山は極限になるまで考えていた。

まだ局面は駒がぶつかっていない。8時間あった持ち時間を使いに使い尽くして

1分将棋、それでも最善手を探すため時間のリミットギリギリまで考える姿に、天彦名人の解説を聞きながらニコ生を観ていた私は胸を打たれた。「機械に支配される世界はまっぴらです」と言い切った男丸山の真骨頂。

山盛りの飯を食べカロリーメイトを飲み止まらない咳に耐え苦しみに苦しんで時間に追い込まれ限界の限界まで追い込んで指し続ける丸山は1分将棋の激闘を繰り広げ竜王渡辺明に勝利した。

あの対局は人間同士の将棋の魅力がたくさん詰まっていた。

それに、「コンピュータに頼りすぎると読みの筋力が落ちちゃうよ」と言った男丸山忠久のすべてが詰まった将棋だった。

最終局にまでもつれ込んだ竜王戦渡辺明が勝ち竜王防衛を決めた。

いつもの屈託のない笑顔に戻って記者の質問に答える丸山のカロリーメイトは余っていた。余ったカロリーメイトがまた次の戦いの糧となることだろう。

突然の対局者変更にも関わらず竜王戦をここまで盛り上げた丸山忠久九段に感謝したい。戦士の戦いは続いていく。