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王座戦決勝トーナメント準々決勝 佐藤天彦名人対三浦弘行九段 新名人の▲4六角

 

新名人誕生に沸いた天童の夜から3日、佐藤天彦名人が名人として初めての対局を迎えた、「おめでとうございます」と祝福の言葉をかけたのは相手の三浦弘行九段、

去年、佐藤名人誕生の礎となったA級昇級と入れ替わりで降級し、順位戦で盤をまじわることなくいつのまにか名人となった佐藤天彦の将棋をどう思うのであろうか?そんな関心を抱きつつ定刻の10時に対局が開始された、

佐藤名人先手番では久しぶりの角替わり腰掛銀で進んでいった将棋は佐藤の27手目にして早くも分岐点を迎える

26手目三浦が1四歩と端歩突きを受けたところで佐藤は4五歩

これは角換わり腰掛け銀ではかなり早いタイミングでの四筋突きらしい

確かに中々見慣れない光景を目にしたがとても力強くも見えた、元気があっていい

三浦としてはこの手を咎めにいくのだろうか?

5手後の32手目に三浦は5四銀、普通の腰掛銀では定番中の定位置であるが早めに佐藤が4五歩を突いた影響で銀が腰掛銀にならない、そんな将棋になった

4五歩を早めに突いた利点を存分に主張するかのように佐藤は三浦の5四銀に対して

4六角と序盤早々に角を打ち込む、これが佐藤天彦名人が今日やりたかった事の一つであることは間違いない、三浦は打ち込まれた角に狙われた6四歩を守るため6二飛車と右四間飛車に構えざるを得なくなった、私はこれは三浦の対局前の見立てとどのくらいズレがあるのか気になった、私なら予想が当たっていれば宝くじが当たった気分である

35手目佐藤が3六の歩を突いて昼食休憩、佐藤は冷し中華を注文し三浦は肉豆腐定食+もち」佐藤といえば昼は特上寿司の印象だが名人になって迎えた初の食事は冷し中華だった、冷し中華という言葉を聞くと夏がきたなという印象だ、6月初旬梅雨が過ぎれば夏はすぐそこである、一方三浦の昼食は「肉豆腐定食+もち」最近三浦の食事といえば大盛り注文が多く今回も重厚な出前注文だ、豆腐にもちといえば雑煮に豆腐を入れるお国柄はあるのだろうか?調べてみると三浦の故郷群馬県では雑煮に豆腐を入れるらしい、今回の注文もその趣向が入っているのだろうか?w私も今度雑煮に豆腐を入れてみたい。

つかの間の昼食休息が終わり対局再開、再開後三浦が指した一手は8四角打

休憩というおだやかな言葉と別れを告げピーンと張り詰めた緊張感を呼び起こさせるような一手だった、三浦が角を打ち込んだことにより両者の飛車角桂銀歩すべての駒が

6筋に集中、開戦前の緊張度は極限に達した

佐藤が6七に金を動かしたのち三浦が6五歩と突き戦闘開始、あっという間に7筋にも戦火が飛び火し歩を交換し合い銀交換、しかし7筋で佐藤が歩を突き捨てたことにより三浦の歩が7五にいて先ほど打ち込んだ角のラインを遮断してしまった、果たしてその影響はいかほどか、45手目佐藤は銀交換した銀を早速使い銀交換したことにより6五にいた三浦の飛車を狙う5六銀、これには佐藤にとって今日の戦いの生命線とも言える4六の角頭の歩も守ることが出来て一石二鳥であった、序盤早々に打ち込んだ佐藤の4六の角はいつの間にか晴れ間がさし込むかように三浦の桂馬・香車をくし刺しにしている、

角の働き具合は断然佐藤持ちだ、その戦闘状況を見かねた三浦は飛車取りを放置し46手目7六歩と佐藤の7七の銀を狙いつつ角道を開ける一手を指す、非常手段だろうか、それから三浦の攻めが激しさを増し佐藤の銀金に爆撃のシャワーを浴びせるかのように叩きの歩を決行し佐藤がのらりくらりとかわす展開になった、まだ三浦の飛車は6五にいるし捕られていない、ついに三浦は50手目6七銀と玉頭に銀をぶち込んだ、そこには佐藤の銀二枚金二枚計4枚効いていていわば相手本拠地の首都ともいえるような場所だ、そこにわざわざ銀を打ったということは攻めに成算があるのか?

夕休後、佐藤は三浦の銀を処理するため6七同金と横に動かす、まるで不発弾処理だ、三浦もその不発だった6六の歩で処理を担当した金を捕り淡々とまた佐藤が三浦の歩を銀で取り局面を収めにいく、三浦の過激な攻めは55手目6六歩打まで続き、佐藤が狙われた銀を7六に戻して飛車捕りにまた活用、ついに三浦の飛車は6二の地点に撤退となった、この手を見た佐藤は三浦の攻めが切れ気味だと意識したという、飛車の撤退に対して佐藤57手目6四歩打、心臓の角のラインを活用し飛車の攻撃路を塞ぐ1手だった、実に本局は4六の角がよく効いている、佐藤天彦名人の構想力の高さにまたいつものように感心してしまった。三浦も桂がヒモについている6五金打などの第二派攻撃で応戦するが佐藤はじょじょに防衛ラインを押し上げていき撤退した三浦の6二の飛車の頭に67手目ついに銀を打ち込めるようになった、三浦が4七に銀を打ち佐藤が6二銀不成で飛車を捕獲、完全に6筋の戦闘を制した形になった、三浦も懸命に攻撃を続けるが76手目4五銀に6八にた玉を早逃げする7九玉がかっこ良かった、佐藤がすべてを見切ったかのように安全地帯に玉を隠れ込ませている、もうこれは佐藤のお家芸であろう、

三浦の佐藤玉捜索の合間を縫って佐藤天彦名人は戦いの終わりを告げる83手目1三桂を着手一瞬の出来事だった、これが詰めろだという、香車の前に桂馬をタダ捨てかのように見えるがこれもなんと序盤に打った4六角が効いている!!結局この角は打たれてから一度も動くことなく異彩を放ち続け、最終盤ついにその角が動かされると4二角成で対局が終わっていた、詰みである、いわば4六角が打たれた所で対局はもう勝敗がついていたのだろうか?それくらい神がかった角打ちだった、王座戦決勝トーナメント準々決勝の一枠は佐藤天彦名人が三浦弘行九段に勝ちベスト4進出を果たした、羽生王座挑戦まで後2勝、天彦名人の未来を明るく指し示しているかのような新名人の4六角であった