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信頼回復は指し続けるしかない。

昨日、三浦九段が4か月ぶりに公式戦の盤の前に座ることができた。

盤の前に辿りつくまでの4か月間、色々な事があった。

それでも、どんなに時が過ぎようと、どんなに盤外が騒がしくとも、将棋は将棋のままで変わらない。

昨日の三浦九段の戦いぶりも、4か月前となに一つ変わらない、ありのままの三浦九段だった。

対局開始前、三浦九段は、あらぬ疑いを持たれることを避けようと、ボディーチェックを受けた。当初は三浦九段だけにボディーチェックが行われる予定だったという。しかし、相手の羽生三冠の対等に戦いたいという要望で羽生三冠にもボディーチェックが行われた。

羽生さんのツイッターでも言っていたが、片方だけのボディーチェックでは、とても平等な対局条件ではなかっただろう。当たり前の事が守られた。羽生さんに感謝したい。

ボディーチェック、たくさんのマスコミ、無数のシャッター音、テレビカメラ。

普段の対局環境とは程遠い、騒然とした空気のまま対局が開始されたが、いつもの静けさを取り戻すと、一手一手を刻むバチッバチッという駒音だけが聴こえるニコ生の映像が、いつにも増して美しく見えた。対局姿も対局姿のまま、どんなに時が経とうと変わることはない。

羽生三冠との三浦九段の復帰戦は、大激戦の末に、羽生三冠が死闘を制した。

一片の狂いもなく名局だった。一進一退の攻防が繰り返され、最後の最後まで分からない局面が続いて大満足。また将棋に魅了させられた。

ニコ生の視聴者数も30万人を超えていた。

三浦九段の一件は二度と繰り返してはいけないし、もう失われた時間は取り戻すことが出来ない。この事をしかと肝に免じてほしい。私は、棋士が指し続けることでしか将棋界の信頼回復は図られないと思う。昨日のような素晴らしい対局を、30万もの人に見てもらう機会がある限り、必ず将棋界の信頼は回復すると確信している。

今日もまた、棋士たちは盤上没我で戦っている。その一手が信頼回復への一手になることを切に念じ、羽生さんと三浦九段の次なる戦いに期待したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦う男、丸山忠久

前日の検分で見せる屈託のない笑顔、それが対局直前になると表情を一変させ戦士の顔になる。棋士にとってはごくごく当たり前の戦士になる瞬間かもしれない。

しかし、丸山忠久が戦士になると只者ではない。

突然竜王渡辺明の挑戦者に駆り出された丸山は、揺れに揺れた竜王戦で観る者たちを沸きに沸かせた。

丸山の戦っているんだという意思表現はフィギュアスケーターのようにこちらに伝わってくる。

味噌ラーメンにカツカレー

鶏そばにハンバーグ+おかわり

うな丼にチャーシュー麺チャーシュー追加

寿司に麻婆豆腐にチャーハン

豚のソテー数量追加

カツカレーに海鮮

これはすべて竜王戦で丸山が昼食に注文した食事の量である。

丸山は対局の時以外はこんなに食べることはないという。食べないともたないそうだ。

腹が減っては戦が出来ぬという言葉は丸山のためにあると言ってもいいかもしれない。

まさに全身全霊をかけて将棋を戦っているんだなと感じた。

おやつの時間になると丸山のおぼんには所狭しとカロリーメイトココア味が置かれていた。

あれだけお昼を食べてもなお丸山には補給が足りないのだろう。

竜王戦第3局、丸山は極限になるまで考えていた。

まだ局面は駒がぶつかっていない。8時間あった持ち時間を使いに使い尽くして

1分将棋、それでも最善手を探すため時間のリミットギリギリまで考える姿に、天彦名人の解説を聞きながらニコ生を観ていた私は胸を打たれた。「機械に支配される世界はまっぴらです」と言い切った男丸山の真骨頂。

山盛りの飯を食べカロリーメイトを飲み止まらない咳に耐え苦しみに苦しんで時間に追い込まれ限界の限界まで追い込んで指し続ける丸山は1分将棋の激闘を繰り広げ竜王渡辺明に勝利した。

あの対局は人間同士の将棋の魅力がたくさん詰まっていた。

それに、「コンピュータに頼りすぎると読みの筋力が落ちちゃうよ」と言った男丸山忠久のすべてが詰まった将棋だった。

最終局にまでもつれ込んだ竜王戦渡辺明が勝ち竜王防衛を決めた。

いつもの屈託のない笑顔に戻って記者の質問に答える丸山のカロリーメイトは余っていた。余ったカロリーメイトがまた次の戦いの糧となることだろう。

突然の対局者変更にも関わらず竜王戦をここまで盛り上げた丸山忠久九段に感謝したい。戦士の戦いは続いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天高き名人叡王

今週日曜日、東京赤坂迎賓館で行われた叡王戦決勝三番勝負第2局で佐藤天彦九段が千田翔太五段に勝ち2連勝で見事叡王戴冠を果たした。
これで名人のタイトルも合わせると名人叡王となる。それも名人も叡王も今季獲得したものであっぱれとしか言いおうがない成績だ。
天高く馬肥ゆる秋
今まさしく佐藤天彦名人叡王は肥ゆる秋すら超え肥ゆる冬も迎えているところだろう、
しかし天高く馬が超えても超えないといけない宇宙が名人叡王には残っている
叡王を獲得したことで電王Ponanzaとの対局が決定した。
今度の相手は人ではない
コンピュータである
Ponanzaの最強っぷりはもはや語らなくてもお馴染みのコンピュータ将棋ソフトだ
毎年名だたるプロ棋士をちぎっては投げちぎっては投げ対プロ棋士無敗、コンピュータ最強を決定づけたソフトに人の名人叡王が相対する、
世紀の決戦に相応しい時がきた
天高く宇宙は無限、無限の超越を名人叡王が飛ぼうとしている。
高く高く飛んでほしい
飛べ佐藤天彦、宇宙のPonanzaを超えてくれ。

三浦九段問題の情報量の乏しさについて

今週水曜日、将棋界で大事件が起きた。

竜王戦挑戦者の三浦弘行九段が竜王戦挑戦権を返上して年内の出場停止処分を受けた。

理由は三浦九段が7月以降に対局した5人前後の棋士からソフト指しを疑われ、竜王戦開幕直前の月曜日連盟から三浦九段に聞き取り調査が入った、調査の際、三浦九段の弁明に納得がいくものではなく三浦九段も「ソフト指しを疑われた状況では将棋を指せない、休場届を出す」としたが、期日までに休場届が出されなかったため、竜王戦開幕直前ということもあり出場停止処分を受けたということである。

そのため竜王戦の挑戦者が挑戦者決定戦で三浦九段に敗れた丸山忠久九段になるという前代未聞の事態に発展し、将棋界隈は大混乱に陥った

私はこの問題について半分は疑われた三浦九段の責任、半分は連盟の責任、そしてあまりにもこの問題に対してのメディアの情報量が不足していることに混乱の原因があると考えている。

まず初めに疑われた三浦九段の責任、そもそもなぜ対局した棋士にソフト指しを疑われたというと、「終盤の緊迫した局面で手盤の際に10分以上離席する」「離席の頻度があまりにも多い」「離席の多さは竜王戦トーナメント中の7月以降になって急増」「三浦九段の指し手が将棋ソフトの示す指し手と80%以上一致している」ということらしいが、まだソフト指しが認定されたわけではないのでソフト指しについてはここであれこれ言うのは控えたい、

しかし、終盤戦に長時間離席をするなど対局した複数の棋士から疑念を抱かれたのは事実であり、トッププロとして対局姿勢に著しく配慮の欠けるものだった責任は大きいと思う、また竜王戦の挑戦権をあっさり放棄して自分が勝った丸山九段に譲ってしまったのも周囲にさらに疑いを抱いてしまった、確かに三浦九段の「疑念を抱かれたままでは将棋を指すことはできない休場届を出す」というのは一理あると思うが、それでも私はソフト指しなどけしてせず自力で指したという確信があるのならどんな手を使ってでも竜王戦の挑戦者に留まって欲しかった、その点は残念でならない、処分を受けて三浦九段は「ぬれぎすです」と一言だけコメントしたが竜王戦が開幕した今日になっても詳細な説明が伝わってこない、ファンは三浦九段自らの説明を待っている、いくら連盟が新たに事実関係を説明したところで肝心の三浦九段の説明がなければ納得いくものではないだろう、今からでも遅くはないから三浦九段自らの説明を一刻も早く求めたい。

次に連盟の責任、今回の事件を招いた根本的な原因は長年の対局環境の適当さにあったと言わざるを得ない、三浦九段問題が発覚するまで将棋界は対局者が不正をしたくなれば不正が容易に出来る環境を許していた、長時間離席して考える棋士がいるのも一種の個性としてファンのあいだに許容できる文化として存在していたが今後は厳格になるだろう、私も長時間の対局なのだから三浦九段問題発覚の直前に出来た外出禁止ルールに反対していたが反省しなければならない、やはり対局料というお金がかかっている競技は厳格に対局ルールを整えなければ不正の疑いを生む環境はなくならない、スマホ持込禁止外出禁止で新ルールが整備されたが新たに金属探知機で荷物検査も追加してもらいたい、今後はこういう検査は徹底的にやって棋士にあらぬ疑いを生む状況をなくして気持ちよく対局をしてもらいたいものである。

最後に本題に移る、今回の問題についてメディアの情報量があまりにも乏しいという件だ、一見、将棋連盟が三浦九段の出場停止を言い渡した次の日から、新聞や各種ニュースメディアでこの問題が大きく取り上げられていたように見えたかもしれない、しかし、取り上げられている内容が将棋ファンが一番知りたい情報とかけ離れているのではないだろうか?テレビのニュース番組では三浦九段がカンニングをしたのでは?という疑惑だけが一人歩きをして面白おかしく取り上げられ、コメンテーターがとんちんかんな感想を残してそれで終わり、おそらくそもそも将棋界にたいして興味がないように感じた、これから三浦九段の不正が連盟に認定されたということになればさらに報道も加熱を帯びてくるかもしれないが、別にこの問題がどうなろうがどうでもいいという印象を感じている、将棋界がお世話になっている新聞社の報道姿勢も納得のいくものではないだろう、問題が発覚した次の日は「スマホで不正か?」とほぼ断定的に書かれていた記事が並んでいたが、断定しているわりには詳細に取材を重ねたような記事ではなく連盟の記者会見をソースに載せた記事ばかり、将棋ファンは今なにが一番知りたいのか?

それは三浦九段への追求取材だと思う、日経新聞が三浦九段の担当弁護士のコメントを掲載したのを最後にどのメディアも三浦九段に取材をしていない、この問題は三浦九段側の視点が著しく欠けているのではないだろうか?さも連盟の記者会見の内容をコピーアンドペーストで貼ったような記事ばかりである、そうこうしているあいだに三浦九段が挑戦権を返上した竜王戦は開幕して、対局者を調べる金属探知機や谷川会長のお詫びが新聞に掲載されている、三浦九段が「不正はやっていません。ぬれぎぬです」と言っているのに挑戦者が変わって当たり前のように竜王戦が始まって違和感を感じる将棋ファンも多いだろう、本来その違和感を究明していくのがメディアの仕事ではないだろうか?残念だがこれまでの記事は将棋連盟の顔色を伺っているような記事ばかり、本当に棋戦の主催者側として責任を負っているのか?と疑いたくなる。とにかく三浦九段に取材をして欲しい、そうでなければこの問題はどんどん闇へ葬られていくばかりだろう。

真実を知るのは三浦九段だけであるのだから。

王座戦決勝トーナメント準々決勝 佐藤天彦名人対三浦弘行九段 新名人の▲4六角

 

新名人誕生に沸いた天童の夜から3日、佐藤天彦名人が名人として初めての対局を迎えた、「おめでとうございます」と祝福の言葉をかけたのは相手の三浦弘行九段、

去年、佐藤名人誕生の礎となったA級昇級と入れ替わりで降級し、順位戦で盤をまじわることなくいつのまにか名人となった佐藤天彦の将棋をどう思うのであろうか?そんな関心を抱きつつ定刻の10時に対局が開始された、

佐藤名人先手番では久しぶりの角替わり腰掛銀で進んでいった将棋は佐藤の27手目にして早くも分岐点を迎える

26手目三浦が1四歩と端歩突きを受けたところで佐藤は4五歩

これは角換わり腰掛け銀ではかなり早いタイミングでの四筋突きらしい

確かに中々見慣れない光景を目にしたがとても力強くも見えた、元気があっていい

三浦としてはこの手を咎めにいくのだろうか?

5手後の32手目に三浦は5四銀、普通の腰掛銀では定番中の定位置であるが早めに佐藤が4五歩を突いた影響で銀が腰掛銀にならない、そんな将棋になった

4五歩を早めに突いた利点を存分に主張するかのように佐藤は三浦の5四銀に対して

4六角と序盤早々に角を打ち込む、これが佐藤天彦名人が今日やりたかった事の一つであることは間違いない、三浦は打ち込まれた角に狙われた6四歩を守るため6二飛車と右四間飛車に構えざるを得なくなった、私はこれは三浦の対局前の見立てとどのくらいズレがあるのか気になった、私なら予想が当たっていれば宝くじが当たった気分である

35手目佐藤が3六の歩を突いて昼食休憩、佐藤は冷し中華を注文し三浦は肉豆腐定食+もち」佐藤といえば昼は特上寿司の印象だが名人になって迎えた初の食事は冷し中華だった、冷し中華という言葉を聞くと夏がきたなという印象だ、6月初旬梅雨が過ぎれば夏はすぐそこである、一方三浦の昼食は「肉豆腐定食+もち」最近三浦の食事といえば大盛り注文が多く今回も重厚な出前注文だ、豆腐にもちといえば雑煮に豆腐を入れるお国柄はあるのだろうか?調べてみると三浦の故郷群馬県では雑煮に豆腐を入れるらしい、今回の注文もその趣向が入っているのだろうか?w私も今度雑煮に豆腐を入れてみたい。

つかの間の昼食休息が終わり対局再開、再開後三浦が指した一手は8四角打

休憩というおだやかな言葉と別れを告げピーンと張り詰めた緊張感を呼び起こさせるような一手だった、三浦が角を打ち込んだことにより両者の飛車角桂銀歩すべての駒が

6筋に集中、開戦前の緊張度は極限に達した

佐藤が6七に金を動かしたのち三浦が6五歩と突き戦闘開始、あっという間に7筋にも戦火が飛び火し歩を交換し合い銀交換、しかし7筋で佐藤が歩を突き捨てたことにより三浦の歩が7五にいて先ほど打ち込んだ角のラインを遮断してしまった、果たしてその影響はいかほどか、45手目佐藤は銀交換した銀を早速使い銀交換したことにより6五にいた三浦の飛車を狙う5六銀、これには佐藤にとって今日の戦いの生命線とも言える4六の角頭の歩も守ることが出来て一石二鳥であった、序盤早々に打ち込んだ佐藤の4六の角はいつの間にか晴れ間がさし込むかように三浦の桂馬・香車をくし刺しにしている、

角の働き具合は断然佐藤持ちだ、その戦闘状況を見かねた三浦は飛車取りを放置し46手目7六歩と佐藤の7七の銀を狙いつつ角道を開ける一手を指す、非常手段だろうか、それから三浦の攻めが激しさを増し佐藤の銀金に爆撃のシャワーを浴びせるかのように叩きの歩を決行し佐藤がのらりくらりとかわす展開になった、まだ三浦の飛車は6五にいるし捕られていない、ついに三浦は50手目6七銀と玉頭に銀をぶち込んだ、そこには佐藤の銀二枚金二枚計4枚効いていていわば相手本拠地の首都ともいえるような場所だ、そこにわざわざ銀を打ったということは攻めに成算があるのか?

夕休後、佐藤は三浦の銀を処理するため6七同金と横に動かす、まるで不発弾処理だ、三浦もその不発だった6六の歩で処理を担当した金を捕り淡々とまた佐藤が三浦の歩を銀で取り局面を収めにいく、三浦の過激な攻めは55手目6六歩打まで続き、佐藤が狙われた銀を7六に戻して飛車捕りにまた活用、ついに三浦の飛車は6二の地点に撤退となった、この手を見た佐藤は三浦の攻めが切れ気味だと意識したという、飛車の撤退に対して佐藤57手目6四歩打、心臓の角のラインを活用し飛車の攻撃路を塞ぐ1手だった、実に本局は4六の角がよく効いている、佐藤天彦名人の構想力の高さにまたいつものように感心してしまった。三浦も桂がヒモについている6五金打などの第二派攻撃で応戦するが佐藤はじょじょに防衛ラインを押し上げていき撤退した三浦の6二の飛車の頭に67手目ついに銀を打ち込めるようになった、三浦が4七に銀を打ち佐藤が6二銀不成で飛車を捕獲、完全に6筋の戦闘を制した形になった、三浦も懸命に攻撃を続けるが76手目4五銀に6八にた玉を早逃げする7九玉がかっこ良かった、佐藤がすべてを見切ったかのように安全地帯に玉を隠れ込ませている、もうこれは佐藤のお家芸であろう、

三浦の佐藤玉捜索の合間を縫って佐藤天彦名人は戦いの終わりを告げる83手目1三桂を着手一瞬の出来事だった、これが詰めろだという、香車の前に桂馬をタダ捨てかのように見えるがこれもなんと序盤に打った4六角が効いている!!結局この角は打たれてから一度も動くことなく異彩を放ち続け、最終盤ついにその角が動かされると4二角成で対局が終わっていた、詰みである、いわば4六角が打たれた所で対局はもう勝敗がついていたのだろうか?それくらい神がかった角打ちだった、王座戦決勝トーナメント準々決勝の一枠は佐藤天彦名人が三浦弘行九段に勝ちベスト4進出を果たした、羽生王座挑戦まで後2勝、天彦名人の未来を明るく指し示しているかのような新名人の4六角であった